ハレの日の色
日本には昔から「ハレの日」という言葉があります。
入学式、成人式、結婚式などでよく耳にする言葉ですね。
例えば、小学校の入学式。
かわいらしい新一年生が、紅白の幔幕で飾られた体育館に手をつないで入場してくる場面を想像してみてください。
色とりどりの洋服や髪飾りでおしゃれをした子どもたち。
会場は一気に華やかな空気に包まれるのではないでしょうか。
成人式の着物やスーツ、結婚式のドレスや着物も同じです。
その場には、目を楽しませてくれるような色があふれています。
ハレの日とは、
人生の節目を祝う、特別な一日。
そこには自然と、明るく華やかな色が集まります。
ケの日の色
では、ハレの日の裏側にある「ケの日」はどうでしょうか。
ケの日とは、日常を意味する言葉です。
そして日常に戻るための儀式として行われるお葬式なども、ケの日に含まれます。
お葬式の服装には色の決まりがあります。
ご存じの通り、白と黒です。
幔幕も白と黒。
参列者の服装も白と黒。
白と黒の空間の中で、亡くなった方を悼み、遺族に心を寄せます。
もしそこに、赤や黄色、ピンクなどの色が入ってしまったらどうでしょう。
日本の伝統的な感覚を持つ私たちにとって、とても違和感があると思います。
色は、その場の意味を静かに語っているのです。
苦しい時、心の色はどうなる?
では、苦しいとき、悲しいとき、絶望しているとき。
私たちの心の色はどんな色になるのでしょうか。
「暗闇の中にいる」
そんな表現を聞いたことはありませんか。
部屋の電気をつけずに過ごしたり、
うずくまって膝に顔を埋めたり。
無意識のうちに、
視界から色を遠ざける行動を取っていることもあります。
一人になりたい
もう刺激はいらない
何もしたくない
そんなとき、
私たちの周りにある色は、黒なのかもしれません。
黒は「強さ」ではなく「防御」の色
しかし現実は、私たちをそっとしておいてはくれません。
生活を回すために家事をし、
育児をし、
仕事をし、
家庭を守らなければならない。
歯を食いしばり、泣く暇もない。
そんな日々が続くと、
ふと気づくことがあります。
「最近、黒ばかり着ている」
華やかで柔らかな色は少なくなり、
いつの間にか黒や濃い色ばかり選んでいる。
でもそれは、
弱さではありません。
悲しみの色でもありません。
それは
自分を守るために選ばれた色。
強い刺激を避け、
心の境界線を守るための色なのです。
いわば、
日常を生き抜くための鉄壁の鎧のようなもの。
その時のあなたにとって、
とても必要な色なのかもしれません。
ハレの日とケの日のあいだで

人生には、ハレの日もあればケの日もあります。
華やかな色に包まれる日もあれば、
静かに黒に守られる日もある。
もし今、黒ばかり選んでいる自分に気づいたら、
「弱っているからだ」と責める必要はありません。
それはきっと、
あなたが毎日を懸命に生きるために選んだ色。
ハレの日の色が心を外へ開く色だとしたら、
黒は、ケの日を生き抜くために心を守る色なのかもしれません。
そしてまたいつか、
心が少し軽くなったとき。
ふと、違う色に手を伸ばす日が来るでしょう。
色はいつも、
あなたの心のそばで静かに寄り添っています。
今のあなたが選んでいる色にも、きっと意味があります。
心の声をゆっくり聴きたい方は、カウンセリングルーム「カフェタイム」もご覧ください。

